大学生の頃、カンボジアへボランティアツアーに行ったことがきっかけです。
日本では「貧しい」と言われていたカンボジアでしたが、実際に関わった人々はとても幸せそうに豊かに生きていました。
もちろん、本当はどうだったかはわかりませんがその時から「豊かさとはなんだろう?」と考えるようになりました。
その後、世界に住む人々の暮らしや考え方、豊かさをもっと知りたくて、バックパッカーで10ヶ月ほど、世界の「貧困地域」と呼ばれる場所をまわり、ボランティアとして働きました。
ネパールの山奥の小学校で働いたり、ケニアのスラム街で子守りをしたり。その旅の中で、もっと自分の心を大切にして生きていいことや、自分の人生はどう生きたいのかということ、日本はとても恵まれているということなどを知りました。
同時に、出会った友達たちが貧困からくる様々な問題に直面していて、それぞれの問題が、他人事でなくなっていきました。
その結果、自分にできること、人生でやってみたいことは?と、自分に問い「関わった人が心豊かに働ける、そんな仕事を作ることだ!」と閃いたので、今はこの仕事をしています。
世界を旅したら、行ったすべての国がそれぞれ大好きになってしまって。やりたいことは決まったのにどこの国から始めるかが決まらない・・・ じゃあ世界に目を向けるきっかけをくれた国から始めるのが一番いいのでは?とカンボジアにすることに決めました。
様々な世界の国々の人と、一緒にご飯を食べて、ビールを飲んだり、踊ったりして過ごした海外での生活。
一番大きく思ったのは、「あぁ。どんな国でも、言語や、民族や宗教が違っても。同じ人間なんだなぁ。」とうことでした。
「人間」という「1つ」の同じ種というだけで十分で。その人を知るためには、「1人1人」違って当たり前だから「1人1人」と向かい合いたい。そんな気持ちを込めてクメール語(カンボジアの言語)モイ(1)という言葉と英語のly(〜のような)をもらって「moily」という名前にしました。
moilyを立ち上げた当初2年はカンボジアを拠点に暮らしていました。 カンボジアの働き方や暮らし方を知る必要があると思ったし、何を現地で作るか決めていなかったからです。 月6000円のお湯が出ないアパートを借り、毎日自転車でカンボジアのガタガタ道を日焼けで真っ黒になりながら、うろうろしていました。
その時たまたま出会ったかご屋さんにものすごく惹かれて、作っている人を探し始めました。出会った人を繋いでいく中で、かごを作っている職人たちに出会いました。その職人たちと時間を共にしたり、職人の実家の村に訪れたりしているときに、「自分たちはかごは作れるけれどきちんとした収入はない」と1人の職人に言われ、「あぁ私がやるのはこれだなぁ。」と思うようになりました。
大きな変化といえば、関わっている職人たちの収入が平均約2.5倍に増えたことです。 以前は病院に行くために緊急の仕事が欲しいと行ってくる職人も多くいましたが、最近はほとんどいません。moilyからの収入で高校に行っている子もいます。
あとは、みんなで遠足に行けるようになったり、新しく自分でデザインを考える子が出てきたり、職人たちも技術が随分向上したり、仕事を通して喜び合える瞬間が増えてきたことを嬉しく思っています。
多くの国の人々の暮らしをもっと知りたいし、必要なところがあれば力になりたいと思っています。
そして、豊かさとは何かと問い続けていきたいです。